ヨルダン出身の友達とゆるトーク -イスラム教ってどんな宗教?
ヨルダン出身の友達ムサブに、イスラム教について話を聞きました。
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ムサブ:オーストラリアには16歳の時に来たんだ。
今は23歳だから7年間ここで一人暮らししてるよ。
僕の苗字はAl Zubaidyっていうんだけど、昔アラブの世界には部族がいてね、
みんな自分の部族から名前をとっているんだ。僕の名前のようにAlから始まってYで終わるのは、部族の名前だよ。
同じ苗字を持つ人が必ずしも近い親戚ってわけではないけど、同じ部族の遠い親戚かもしれないんだ。
オーストラリアで会った友達に同じ苗字を持ってる子がいるんだけど、
僕はヨルダン人で彼女はイラク出身だから、とても遠い親戚なんだよ。
―イスラム教って?
ムサブ:イスラム教は世界で22%の人に信仰されているんだ。
お祈りは一日に5回、メッカに向かってする。朝、昼、午後、夕方、そして夜。
そこではみんな同じ白い服を着るよ。
彼らは金持ちかもしれないし、貧困に苦しむ人たちかもしれない。でもみんな平等なんだ。
お酒は飲まないし豚肉は食べない。
物を盗んだりはしないし、人を欺いたりもしない。
それがイスラム教だ。決して害のあるものじゃないんだ。
もちろん従わない人だっているけど、それは少数だよ。
僕は16からこの国に住んでいて今までいろいろな機会があったけど、お酒を飲んだことは一度もない。
彼女がいたこともない。結婚するまでは作っちゃダメだからね。
一度間違って豚肉を食べちゃったことはあるよ。
でも間違いは罪じゃないんだ。
難しいことじゃない。みんなと同じようにただ生きてるよ。
ムサブ:一方で人々は中東に対していつもネガティブな固定観念を持ってる。
女性の人権問題やアルコールが飲めないこと・・・
でもね、統計的にはいいこともあるんだ。アルコール摂取による病気が少なかったりね。
それから僕たちはギャンブルもしない。それでお金を儲けるのは違法なんだ。
どのくらいの人がギャンブルで儲けられると思う?ほんの一握りだよね。
だけど多くの人が病みつきになってる。それが問題なんだ。
薬物も許されてはいない。予防が大事なんだよ。
―イスラム教の価値観
ムサブ:僕たちは今、すごく物質的な社会に住んでると思う。社会に信条がないというか・・・。
まず僕の国にセクスポはないよ。
(参照:過去記事「セックスのエクスポ、SEXPOに行ってきた!」)
恥ずべきものだからね。信条の面から言って受け入れられないんだ。
見るもの、触るもの、味わうもの。全てが物質的だ。人々は生きる価値を失っているんじゃないかな。
例えば日本はとても発達した国だけど、自殺率はすごく高いよね。
スカンディナビアの国や日本は高齢社会で、人々は世界でも一番長く生きる。
でもそれと同時に自殺率が高い。
そこには宗教がない。金、金、金。生きる目的や信じるものがない。
生活が物質的になるほど人生の目的ってなくなるというか。すべてが科学で・・・。
現代を生きる多くの人が生きる目的を持っていないと思うんだ。
僕たちの国、イスラム教の国々を見た時、そこには貧困問題や殺人、戦争もたくさんある。
でもイスラム教は、隣人に優しく慈悲の心を持ち、道が汚れていたら通行人のためにそれを取り除くよう教えられているんだ。いつも良いことを言うようにするし、もし何もないんだったら黙っている。
人を傷つけてはいけないし、常に正当でいなければならない。
兄弟に対しても自分に対しても。みんながお互いに気を使い合わなきゃいけない。
全ての人が積極的な社会のメンバーなんだ。
例えばもし女の子が嫌がらせを受けていたら、僕は彼女を守ろうとするよ。
他の人も自分の妹に同じことをしてくれると思ってる。家族にもね。
イスラムは社会規範を設定するものなんだ。君が若い時、親は君の面倒を見る。
そして君が年をとったら、両親の面倒を見るのは義務。イスラムでは、天国は母親の足元にあるって言われてるんだ。
だからイスラムで一番大事なものは神を崇拝すること。その次に両親。
崇拝というのはメタファーのようなものだよ。
―生きる意味?
シンプルだよ。僕たちは物質的な社会に住んでいて、生きる意味を失っているんだ。
今まで、自分に対して人生の意味を問いかけたことがあるかい?
食べる、働く、楽しむ。なぜ金持ちがいて、貧乏人がいるんだ。
なぜ簡単じゃないんだ。
人生にはたくさん困難がある。なぜ?
神は君に何かをするように強要してるわけじゃないよ。
僕たちは選ぶという能力を持っているんだ。
人生はテストみたいなものだ。
僕には選択肢がある。
お酒を飲むことだってできるけど、そんなことしない。
君は君のすること、選択に責任があるんだよ。
君がイスラム教徒にならないなら、君を傷つける? そんなことしない。
イスラム教は、もし相手が異なる宗教を持っていてもそれを尊重しなければならない、って教えてる。
誰かを宗教に入るよう強いることは禁じられているんだ。
君は宗教を信仰するかしないか、選択する権利を持っている。
みんなそれを受け入れるか拒否するかの権利を持っているんだ。
自分の行動の責任は自分でとらなきゃいけない。
共に暮らすんだ。僕たちはみんな人間だからね。
世界の16億人がイスラム教徒なんだ。
ほんの一握りの少数派の行動をみて、どうやって全てのイスラム教徒のことを判断できるのか。
イスラム教はとても美しい宗教で、生き方なんだ。
人々がその目じゃなく、心で見てくれたらね。
「留学してるんだから日本人とはなるべく関わらない」とか言うけれど
留学してるんだから極力日本人とは関わらないようにしよう
とか
あいつは日本人としか一緒にいないじゃん
とか、聞いたり思ったりすることがあるかもしれないけど、
それが日本人でも韓国人でも中国人でもフランス人でも
「気が合うから一緒にいる。」
それでいい気がする。
英語の勉強は大事かもしれないけれど。
しゃべる機会なんていくらでも作れるわけだし。
気が合うから一緒にいる。
一緒にいたいから一緒にいる。
それでいい気がする。
あまりストイックに「英語話者としか話さない!」ってしなくてもいいんじゃないかな。
つまり何が言いたいかというと、
友達って大事だなとこちらに来て改めて日々感じるです。
へへへ
香港出身の友達とゆるトーク その③ -「それは興味じゃない。責任なの。」香港の若者の政治に対する姿勢。
香港出身の女の子、フィービーとのトーク第三弾です。
前回は、イギリスから返還されてからの香港と中国の関係について話しました。
2017年の選挙を前に香港の人々が今感じているのは、言論の自由の揺らぎ。
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―象徴としての7月1日。
フィービー:7月1日は香港が中国の政権下に戻った日。
今、香港では色んな人が色んな意見を言ってる。私がオーストラリアに来る前もすごくネガティブな意見を聞いたよ。
「今の政府は良くない」とか、「人々のことを考えていない」とか。
多くの政党は、選挙は規制されずにオープンに開催したい、って抗議してる。
それが今私たちが戦っていること。
ほとんどの人がね。
香港は普段から抗議活動が多いことで有名だけど、特に7月1日の祝日には多くの人が集まるんだ。
その日は香港特別行政区の始まった日だから。
香港中の人が自分たちの権利について主張しにやってくるよ。
政府に対して、今自分たちが何を求めているのかを訴えるの。
抗議活動は普段からやっているから、7月1日は政府に抗議するための象徴のようなもの。
特に今はたくさんの議論が交わされていて、少しバイオレンスな感じもある。
いくつかのキャンペーンは私も応援するよ。
リーダーが何かを言って、他の人々はそれに従うの。それが私たちのすること。
香港のそれぞれの大学には、政治や経済、社会について話し合うスチューデントアソシエーションがある。
だからたくさんの10代の若者が自ら抗議に参加する。
参加したいと思っているし、求めてるもののために戦いたいと思ってる。
若者にとって抗議活動に参加するのは普通のことなの。
日本の若者はあんまりそういうことしないよね?
―それは興味ではない。
マチ:日本には政府や政策に興味のない若者が多い。香港では若者の政治に対する興味関心がすごく高いんだね。
フィービー:それは興味とは言えないな。自分たちの政府について考えることは私たちの責任だと思う。
だってそれは生活に影響するでしょう。
私たちは教育を受けるし、テレビも見るし、新聞も読む。
今社会で何が起きているのかを知る。
だから若者は抗議するの。
意見を言いたいの。
Facebookのようなソーシャルメディアや、フォーラムで自分が考えていることを話すのはとても一般的だよ。
マチ:日本の多くの若者には、政治が生活と強く結びついているという実感がないんだと思う。
フィービー:持たなきゃいけない。それは私たちの生活や未来、仕事に影響するし、教育だってそう。
政府によって法律が決められ、学校が設立され、教育に影響してる。
日々の生活の中で私たちがすること、話したり、パソコンを使ったり、すべて。
それは政治に関係してる。それが私たちの考えること。
だからそれは興味じゃない。責任なの。
そう。私たちは行動しなきゃいけない。
日本人の若者もそうすべきだよ。
抗議しろとは言わないけど、社会に対して自分は何ができるのか考えるの。
興味があることだけじゃなくて、今社会で何が起きているのかについて考えるべき。
日本政府は消費税を上げたよね。
政府の変更は生活に影響するんだから、それが自分たちの生活にとって良いのか悪いのかを考えなきゃ。
私たちのお金を使って、求めていることを実現してくれる政府なのか?
私たちのためにもっと病院を建設しようとしているのか?
よりよい施設を人々に提供しようとしているのか?
それが私たちの考えること。
その税は私たちが払えるものなのか?政府はその税金を正しく使えるのか?
それが若者が考えなきゃいけないこと。
だって若者は未来だから。
これからの社会で何をしていくのか。会社に入って社会の一員になるんだから。
私たちはもう子供じゃない。
若者たちは社会に出る前にすこし早く知識をつけないと。
若者が一体になれば、社会に大きな影響を与えられる。
(おしまい)