香港出身の友達とゆるトーク その② ―イギリスからの返還と中国政府が起こした変化。
前回に引き続き、香港出身の友達フィービーとのトークです。
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―香港と中国。
フィービー:政治的な問題についての香港*¹と中国の関係はとてもセンシティブなんだ。2017年に選挙があることもあって、今香港ではすごくたくさんの議論が交わされてる。
香港の政党には中国政府に近い親中派と、民主派の党があるよ。中国政府に対してのデモが行われたり、この2つは常に戦っているんだ。反中国政府側の方が香港の人々には支持されていて強いと思うな。
もちろん中国政府寄りの人たちもいるよ。でもあまり多くの人は中国政府寄りの政党を応援していないと思う。
今は新聞やニュースを見ても民主主義がマジョリティ。香港の人々は言論の自由*²が脅かされるのを恐れているんだと思うよ。それがメインポイント。
あれもこれも話せない・・・そんな風に規制されるのはイヤだよね。自分が考えていることを自由に発言できないなんてひどいことだよ。
おもしろいことに、たまに香港は一つの国だと思ってる人たちがいるけどそうじゃない。笑 香港には自分たちの政策があるけど、それは中国と全く違うわけではなくて、中国から認可されたものなんだよ。
香港には中国によって制定された香港特別行政区基本法(以下基本法)*³があって、すべての法律はそれに基づいて作られてる。これが中国と香港の関係。
私たちの法律は完全に中国と同じわけではないし、議会が違う。
中国との大きな違いは経済かな。香港はオープンで、市場は自由だから誰でも香港に来て投資することができる。多国籍企業がたくさん香港で会社を立ち上げて投資してる。
香港が国際的な都市として経済や金融で有名なのはこのせいだよ。
イギリスの植民地だったのはそこまで昔の話じゃないし、西洋の影響も受けてるんだ。
―イギリスから返還されて。
フィービー:香港は1997年にイギリスから中国に返還された。
私はその時まだ小さかったけど、中国が香港で政治的な力を取り戻すのを恐れて、多くの人たちは海外へ出て行ったんだよ。みんなカナダやアメリカ、オーストラリアに移住していった。私たちは共産主義者じゃないから。
中国と香港は政策が異なるから、人々はその変化が自分たちの生活に大きな影響を及ぼすんじゃないかって恐れたんだ。
返還されてから基本法が制定されるなど、香港の政策が変わった。経済はいい状態だし世界に対してオープンだけど、法律はイギリスのものとは大きく異なるよ。
イギリスが香港に来た当初は、香港の人間が政府の役職に就くことは許されなかった。
かなり厳しかったんだよ。でもその後、香港の人も政府で働くことを許されるようになった。
彼らは香港で民主的な政治を行うようになったんだ。だから私たちは中国と違って、自由に意見を話せる。中国では話せない言葉とかいくつかあるでしょう。
香港には話す自由も書く自由もあるの。海外からの情報は入ってくるし、中国みたいにfacebookがブロックされたり急にブログが閉じちゃったりとかそういうことはない。
私たちはそういうことができるから、基本法以外中国とは別。
ー返還後50年の約束。
フィービー:中国は、香港に対する政策を返還後50年間は変えないって私たちに約束したの。
でも何かが変わってきてる。
だから今、「中国政府はどうなってるんだ?」っていうような議論やニュースをたくさんみるよ。人々は言論に厳しい政策をとっている中国に対してネガティブな印象を持っているんだ。
言論の自由については、香港でも数年前までは考えなくてもよかったんだよ。何も規制はないし。でも今、政策において何かが徐々に変わってきてるんだ。
変わらないで欲しいけど。だって中国政府は50年間政策を変えないって約束したんだよ。
まだまだ先なのに。50年のうちの半分もいってないのに、すでにたくさん議論が交わされてるんだ。
近い将来、2017年に選挙がある。
選挙はしっかり正しく開かれて欲しいし、自分たちの選挙に関して何か規制とかされたくない。だからみんな議論してる。今の政策や法律に大きな変化があるんじゃないかってみんな心配してる。
もしそうなったら私たちの生活や社会に大きな打撃があると思う。
(つづく)
◆基本知識◆
*¹:香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区(Hong Kong Special Administrative Region of the People’s Republic of China)」。
1997年7月1日に、中国の「特別行政区」になりました。
*²:イギリスから返還された後も、香港では基本法によって言論の自由が保障されていました。
*³:基本法とは、97年にイギリスと中国の間で結ばれた共同声明を具体化したもの。この方針は50年間変更しないとされています。
(参考:外務省)